[もし、わずかでも息があるようなら……と思ったが、どうやらその可能性はないようだ。
ふたつめを聞いたのは、遺体の安置場所が知りたかったので。
嵐のせいで遺体がしかるべき場所に移動できないのなら、簡易的にでも死者への祈りをささげるのが、自分のつとめだろう。
ひどい状態の遺体を清める者がいないなら、自分がやってもいい。カリュクスなら、獣に食い荒らされた遺体を見てもおそれることはない。
とにかく、騒ぎが落ち着くまでまだしばらくかかるだろうから、一度部屋へ戻ることにする。
その前に厨房へ寄って、オーレリアの頼んだポトフが部屋に届けられたか確認した。この騒ぎで遅れているのではと思って。
案の定で、自分が運ぶと受け取れば、奇妙な生き物を見るような目で見られたかもしれない。こんな時に、と。
しかし時間は有効に使うべきだ。今カリュクスにできることは、なにもなかったのだし]
(83) 2017/08/14(Mon) 01時半頃