――昼下がり>>67――
なんだ、アリーさんもか。
実は僕も――
[と同意する間に、腹の虫のほうが先に騒ぐ。
そうなんだよ、と少し照れながら髪を指先で混ぜる。
適当に結んでいる巻き毛が少し緩んだ。]
僕に必要なのは鳩時計なんじゃないかと思っていたけど、時計屋さんでもその調子なら、僕にはまだ使いこなせなさそうだ。
いいよ、たいしたものは出ないかもしれないけど、気のいいママがいる店があるから、一緒に行こう。
何か――たぶん、何か出してくれるよ。
[工房の主人をしていても飲食店の経営者じゃないから、食事の提供の確約はできない。
が、実のところこれが初めてというわけでもないので、ポテトの余ったのかショートパスタにトマトソースとチーズをかけて焼いたのくらいは食べられるという勝手な算段をつけて、大通りのほうへ歩きはじめた。
鍵は確かめたから大丈夫だとも、と得意げに言ったが、窓際の来客>>79がもし見ていたら、滑稽だったかもしれない。]
(83) 2019/07/26(Fri) 14時半頃