―朝― [
与えられた部屋はゴミ箱よりもずっと快適で、日頃暮らしてきたガラクタ小屋よりもずっとよかった。これはお金が取れるお布団だ、とも思った。
だからこそ、なのだろう。目が覚めた時はもう、閉じた扉の向こうからでもはっきり、騒ぎが起きていることが漏れ聞こえていた。
また朝寝坊してしまった。あーあ。
嘆息してミルクキャラメルを口にほうりこむ。
個室を出るとすぐ、ベッキ姉ぇ、ノアおじさん、掃除の人に、ルパートさんが掃除にいそしむ一室と、そこから出た結社の大人が、玄関を抜けて出て行ったところが目に留まる。
猛烈に漂うのは、肉屋のにおい。
やがて、結社員が戻ると、全員を起こして回って説明が始まる。
そして、沢山のお肉、乳製品、お酒などを置いていき、結社は玄関の鍵をかけた。
新たに届いた食材のため、肉屋のにおいがぐっと強まる。
世界が裏返ってしまったかのようで、テーブルの脚の間からそれらをみていると、奥様は占い師だと宣言する。
そして、大人たちは言い争いをはじめた。
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(82) 2018/07/27(Fri) 22時半頃