【人】 安全保障局 アラン

[悪趣味である自覚は在って。彼に責がないのも知っていて。
それでも尚、己はトレイルを濡らす。

この美しい男が誰のものであり。
その肉体に篭る魂は誰が所有するのか。
彼の心と身体に深く、教え込みたいと思った。

躾と呼ぶには余りに爛れた滴りを塗りこんでいく。
束縛を良とするのではなく、もっと深い場所へ種を植えたい。

膝に円を描く軟体が、恭しく持ち上げた足甲へと接吻を乗せる。
彼の反応を余さず視界に納め、熱い吐息を零した。


―――この男の深い、深い、奥底へ。
アランと言う名の種を落としたい。


舐め擽る水音に紛れ、湯気に思考が攫われていく。
浴室に溢れる彼の声を聞きながら、「お前の育った風景が見たい。」と告げるのは、*もう少し先の話。*]

(81) momoten 2014/02/09(Sun) 01時頃