[兵士達の一群が抜けた後。残されたのは、動くもののない荒野。
砕かれた死者はもう、動かない。この世に残された魂達も、見捨てたように消え絶えた。
背後ではまだ、続いている。
タタタタタッ。タタタタタッと音がする。
この街を救うために――――この街を、破壊する。
ここでないどこかに大切な人がいるであろう、彼らもきっと、命を賭して]
これが、現実なんですか。なんて、救いのない……。
[男は、空を見上げて喘ぐ。
その脳裏には、神に挑んだ教え子の声が。
そうだ。彼は言っていたのだ。男の半分も生きていない彼が。
『俺が世界の理をかえてやる』>>5:+23……と。
挑もうとしたのだ。勇敢に]
神様…………。
[ヘリが、編隊を組んで飛んでいく。男をすり抜けた軍人達が、道路を通じ、一路屋敷へと突き進む。
それがいつかは分からない。
けれど……やがて彼らはその歩みのまま、屋敷へと踏み入っていくことだろう]
(81) ginlime 2011/12/14(Wed) 21時半頃