あら……?
[その時目の前を、銀白色の透明な何かがさっと横切る。]
[突然のことに驚いてのけぞると、銀白色の何かは教室の天井を駆けのぼり、バネのように体をしならせてメアリーの目の前にふわりと降り立った。銀白色は、ヤマネコの貌をとってこちらをじっと見つめてくる。
その精悍で幻想的な出で立ちに、息をのむ。これは――]
守護霊……!
トレイルの守護霊だわ!
敵に…遭遇したんだ……!
[後半の言葉は少し震える。彼のことだから、敵と認めたのならもうすでに戦っているかもしれない。ヤマネコの守護霊はメアリーの前に立ち、主人のメッセージを伝えた。]
…、『階段ホールでグロリアに遭遇。一人で来るな。助けを呼ぶんだ』……。
[震える声で、その伝言を読み上げる。ヤマネコの頬をそっとなでると、主人から仰せつかった役目を果たしたその守護霊は、霧のように消えていった。空に消えた白を見つめる。
そばにいたルドルフとジリヤは、どう反応しただろうか。]
(80) 2014/09/10(Wed) 18時半頃