[一瞬躊躇ったような態度を見せた彼>>78だったけれど、自分が差し出したその手に添えられたのは彼の手で。
高鳴る鼓動を抑えるように、彼の手を握る力を少しだけ強めて、歩き出すことにした。
先ほどの躊躇ったような表情は、遠慮なのだろうか。それとも、嫌われている方なのだろうか。
どうしても答えは導き出せなくて、そう思われているのならこうやって手を差し出すことなど辞めてしまいたいと思うのに、彼の中の、まだよく理解できない気持ちが勝ってしまうのだ。
彼の手の温度は緊張でわからないままだけれど、薄い手袋越しに感じるのは、その手の、男性特有の感触で。
それはとても愛おしいものに感じてしまう。]
…、これは一体…。
何があったんだろう。
[小声で呟いて、広場について騒ぎの痕跡を見た。その中心はきっと、もう去ってしまったのだろう。
その中で聞こえる"少女"、"砂に"という言葉。
――なんだか、胸の奥に不鮮明なものが溜まったような、嫌な予感がした。
そんな中、彼>>79の声でいまだに自分らが手を繋いでいることを思い出して。]
(80) 2015/04/10(Fri) 16時頃