『設計図』ねぇ。それを僕に預けて、彼はどうするつもりだろう。
まさか僕にそれを作れというわけじゃないだろうね。
[一平太を伴い、自室へと歩きながら、来客についての報告を受ける。たしかに(自称)発明家である自分は、村人の求めに応じて農具だの漁具だのの改良に手を出すこともあるのだが]
それで、ぺーた。君はその『設計図』見て、どう思った。
[たまに小難しい講釈を垂れたくなる度に、付き合わせるのはだいたい同居人の彼だ。分厚い眼鏡の下で、黒目がちの子供のような目がじっと見上げる。
部屋に着き、一平太が頭を下げて辞そうとするのに、ありがとう、と一声かけて]
……そうだな。なにかさっぱりしたのが食べたい。
梅干しやら青紫蘇やら茗荷やらたっぷり使ったものがいい。
あとはまぁ、君の食べたいものにするといいよ。
[あまり献立の参考にはならぬ答え。それでも源蔵の口許は、期待をするように微かに笑みを刷いた]
(80) 2011/08/09(Tue) 21時半頃