― とある結社員の過去 ―
[青年は、村の中で最も裕福な家庭に生まれ育った。
特に職を持たなかったが、何もせずとも親の金だけで
生きるのに不自由は無い。
そんな子に対して、親もまた甘く、何も言わなかった。
満たされているという訳でもないが安穏に暮らせることは
保障されている――はずだった。
しかし、ある時。
村人たちが獣に食われて死ぬ事件が頻発するようになる。
青年は当時から友人などもおらず、被害者たちのことなど
ろくに知りもしなかった。
だから、事件のことも親が話していたのを聞いただけだ。
自分には関係の無い話であり、深く捉える事も無かった。
けれど、そんな彼も他の村人たちと同様に。そして平等に。
村にやってきた「結社」を名乗る者たちにより
集会所へと集められ、「人狼」の説明をされた上で
閉鎖された空間に監禁されてしまう。]
(78) 2012/01/12(Thu) 00時半頃