――あ、あの、[ようやく出る、掠れた声。] 夜風、に、あたってきます。[何処に行くとは言わなかった。否、言えなかった。此処は知らない場所だから。それだけ言えば。人のいない方をと願って、ゆっくり立ち上がり、ぱたぱたと広間を出て行ったか。道中誰かと出くわしても、曖昧に微笑むだけでかわそうと、そうこころみて。]
(78) 2015/01/20(Tue) 21時半頃