>>64>>66
……ごめん…
けど、俺は……あんたに、会いたかった
[それは珍しく――虚勢も意地も含まずに零れ落ちた言葉だ。会いたかった、例え思い描いていたような再会ではなくとも、例え彼が変わってしまっていたとしても。
ぐらりと視界が歪む。テーブルへと両肘ついて上体を傾がせ、定まらぬ視線を目の前の男へと向けた]
あんたもそうじゃねぇの?
そうだと思ってた…変われねぇ自分が、すっげぇ…ムカツク
[一旦堰を切れば転がり落ちるように言葉は溢れ。醜状を晒している自覚は勿論あったけれど、今はこの酔態のままに吐き出してしまいたいと――彼がどう思うかはいざしらず。
町を出てからの日々は結局ただの日常の連続にしか過ぎなかった。厳しい訓練と喧騒とほんの少しの娯楽――良い事も悪い事も多分同じくらいに。
生活は確かに変わったのだけれど、己の本質は何も変わらない…あの頃と同じ、ただ逃げ出したいとそればかりを願っている。
――吐き気がした]
(78) 2013/07/24(Wed) 03時半頃