―回想・31にて―
お、美味しい? な、なら、良かった!
[あーんで食べさせたチョコミントを美味しいと言ってくれたから、ほっと一安心。
僕の動揺は久水さんに伝わっていないように見えるから、心の中で胸をなで下ろす。
どう誤魔化していこう、そういう考えで頭が一杯だったから、久水さんが不自然に固まったのは全く気が付かなかった]
そ、そう? 遠慮しなくても良いのに。
[動揺を誤魔化す為に提案したチーズケーキの味見は却下されて、
多分ここで押し切ってカップを渡してしまえば、恥ずかしい思いをさせることはなかったんだろう。
いちごみるく、と言った久水さんが、僕と同じように、いちごみるくを乗せたスプーンをこちらに向けている]
あ、あり、がとう……。
[心臓が早鐘を打っていて、顔から火が出ているように熱い。
でも、これを断ってはいけないと思って、ぱくりと、差し出されたスプーンからいちごみるくを食べた]
(78) 2016/08/19(Fri) 21時頃