寄贈したのかよ……まあいいけど。
お前にやったもんだし。
[自分に対しては冷たかろうが。
本という形なら。ちょっと大事にしてくれたりすんのかな、なんて。>>1
職場に寄贈というのも、本が好きで大事にしているからこそかもしれないが。
母から聞いた話じゃ本と写真を受け取ってからしばらくご機嫌らしかったから。
特別扱いしてもらえるんじゃないかとか。そんなささやかな期待は、トーストと一緒に喉の奥に押し込んだ。
文才も絵心もまったくない。
自分にあるのはただ見たものを写し撮る、文明の利器。
見たものを。感じたものを。
この仏頂面の年下の叔父にはどう見えるか。どう感じるか。
そんなことを考えて撮るようになってから、変わったと。
カメラを教えてくれた師に言われたのがきっかけ。
言われて彼女よりも両親よりも、真っ先に浮かぶ顔が特別な存在だと気づいたのは。意識しだしたのは。]
(77) 2015/11/26(Thu) 00時頃