[庭から赤茶の絨毯を引いた先にあるのは台所
引きずった屍は錆びた出刃包丁で半ば千切るように切断されて
銅鍋のなかには搾り取った血、ぷかりと浮かんでいるのは心臓だったモノや、胃袋らしきモノ。
食べきれていなかった腸は戸口から伸びたロープに吊るして干し、膿の広がっていた皮膚はぺたりと伸ばして脚のかけたテーブルに貼り付けた。乾きかけたところが軽く丸まっている。
空っぽになった腹の中には、庭先で切り落とした四肢を嵌めて
いびつな形の乳房は両方抉り取って、皿の上に盛り付けた。
蒸していた室内も、作業が終わるころには肌寒いくらい。
しかし労働を終えた女には丁度良いくらいで]
これで持つわ
[気温が下がった事を喜ぶ女の手は肉片塗れて赤い。
其処に抱えているのが、胴体から切り落とした死骸の顔。
肉はこそげ落とし、骨ばかりになった頭部
喰らう場所の無い其れを手に、女は晩餐の準備整った台所を一度後にする]
一度肉を切るともう駄目ね
新しい包丁は何処かしら**
(77) 2011/05/12(Thu) 09時半頃