[以前、義弟の病院に、子供用にと渡していたぬいぐるみだ。この子にコロと名づけたのは、妹だったかジョーだったか。
大層気に入って、持って帰ってしまったことは妹から聞いてはいた。しかし。あれから五年もたっているというのに、いまだに大事に持っていてくれたことに思わず目頭が熱くなる。
そのコロは、随分と、ボロボロで、妹とはまた違ったベクトルで変わり果てた姿になってはいたが。親指と人差し指で軽く眼を抑えてから、大きな手で大切そうにそのぬいぐるみを受け取る。]
――……確かに、お預かりします。
[取れかけた腕をそっと持ち上げ、壊れたりしないよう触ったり、ひっくり返したりして確認する。]
うん、これなら。
すぐに治ると思う。
[頷きながら、クラリッサが急がないようなら、今日の夕方には仕上がるだろうと告げた。]
(77) 2013/12/06(Fri) 07時半頃