─ バルコニー ─
[バルコニーに出て、真ん中くらいまで進み出る。夜闇が広がりつつある時間帯、灯りも制限された状況では、下から自分の姿を特定するのは難しいだろう]
……さぁてぇ、と。
[持っていた弓に、矢を番える。
その変化がいつの間になされたのかは、知らない。もしかしたら、命の危機に瀕した際に目覚めた力──太陽の光に感応したのかも知れないが。
とにかく、古びた木の単弓は手触りは木のそれのまま、淡い煌めき零す白の優美な弓へと形を変えていた]
……んーじゃ、やるとすっか。
[番えた矢を引き絞る。
矢先が向かうのは、天。
マツリカがみゅう、と鳴いて尻尾を振り、同時、身の内に温かい力が満ちるのが感じられた。
それはそのまま弓と矢へと伝わり、きらきら、光の粒子が零れていく中。
文字通りの光の矢となったそれを、空へと放った]
(76) 2013/11/24(Sun) 14時半頃