【人】 花売り メアリー

――　船着場　――

［>>56死した魂が辿り着く場所。
　緋袴姿で訪れた魂は、手首に巻いた紅い布を大事そうに握っていた。

　橋渡しの時は同時にはならない。
　それは、どのような魂でも共通の約束。
　己と、功罪と向き合うのは、常に自身一人のみなのだから。

　番人の姿に、少女は一度目を閉じ、凪いだ表情で見つめた。］


……　おつかれさま、です。


［そこから先は、口を閉じる。
　船が動き出すまで、戒めを受けても眉一つ動かさなかった。］

(75) kokoara 2012/08/20(Mon) 21時半頃