[きっと、彼の期待には沿えない答えを、吐き出した後。
一六のマネキンが見える窓辺から、離れる。
窓は閉めるかどうか迷って、閉じるだけ閉じて鍵はかけずにおいた。
鍵をかけてしまうと、寒々しい風景の中にひとりぽつりと落ちる彼女を断絶したような気がしてしまう。]
……他の奴らも、探しに行こう。
[他にも、誰かが帰っているかもしれない。
そう誘いをかけて、彼の腕を引く。
さっきの今で一緒に行くのも気まずいような気がしたけれど、ここに放置していくのもどうにも危なっかしい。
振り払われたなら、それ以上、無理強いはしない。
どちらにせよ、歩き出す前に一度、古屋を振り返る。]
──俺は、お前に、死んでほしくないよ。
[感情の波が去った声は、教室の中に静かに響く。
何が最良かは分からずとも、出来るならその言葉だけは信じてほしかった*]
(75) 2015/11/07(Sat) 18時半頃