[その後ふられた質問に、ふむと首を捻る。これも少し時間をおいて、落ち着いた声で返事をした。]
さあ、誰となんでしょう。
今のところは誰もいませんし、予定もありません。……周りにいる貴族の女性はあまり、苦手なもので。
[怖いから、踏み出せない。愛しいから留まりたい。混ざった思いは等しく黒なのだろうか。
謝られ、叶わぬ願いの絵>>67だと、告げられて。]
……そう、でしたか。僕の捉える意味は同じ、だったと。訣別と、告白。
困りましたね。さらに物悲しくなった。
せめて時間でも戻せたらいいのに。人助けして生きられた、あの頃に。訣別した時間にね。
……ハンバーガーが美味しかった、あの頃に。
…そろそろ遅いですね、すみません。では、おやすみなさい。
[あの人に拾われた辛い記憶よりも前に。異なる道ならこんな思いをせずに済んだだろうか。
そんなことは知らない。最後のか細い言葉は彼女に届いたか、否か。
ピアノ室の扉は別方向に二つある。彼女よりも素早く扉のノブに触れ、静かに自室へと向かっていた]*
(75) 2016/07/31(Sun) 16時頃