[目に見えぬ刃は沙魅助の肌に筋をつける事は敵ったろうか。
続け様に次撃を放とうと地を踏み込み、焔陣の外から聞こえた法螺貝>>43の震音に前足が浅く滑る。
体勢を崩しての一撃はただの温い風となって沙魅助の肌を撫でるに留まっただろう。
集中を切る音は、すぐ近くから聞こえたかに思えた。
方角はどこだ。炎で周囲がよく見えない。
……たしか、あちらは総大将の本陣ではないか。]
ちょっと休憩、なんてさせてくれないわよねぇ。
[法螺貝の根に気を割いていれば、お返しとばかりの一撃を避け損ねる。
周りを囲む炎だけが理由ではなく肌上を汗が流れた。]
……何事も、まずは一歩を
[沙魅助へと牽制を放ち距離を取ると、腰を低く落とし、長刀を持って大きく上体を捻った。
ざり、と踏み込みにより地面が浅く抉れ、握りこんだ柄が軋む音を立てる。]
(75) 2015/05/19(Tue) 22時頃