――回想――
せわしないヒトだ
[ドタドタと屋敷を飛び出してゆく女の悪魔。その姿を表情のあまり読み取れない瞳が映し出すものの、見えなくなれば興味というものも同時に見えなくなる。]
あれ。桁すら間違えてたか。ウン、どうにも僕はずれてるみたい。
[4000ボボノを残して残りは自らの財布に戻す。いわゆる"クスリ"の相場よりも大分安いが、やはりほかのところが高すぎるのだろうか。]
ふ〜〜ん。生きることがセイメイとしての願いね。
ウンウン、なるほどね。でも君は本能に身を任せるようなヒトじゃないでしょう?
[僕が聞きたいのは違うことだと暗に言いつつ、答えがないならば、あるいはまたはぐらかされるようならば追求することはもうやめようか。クスリをやめますようになんて言われれば薄い唇がほのかに弧を描く。]
僕の唯一の娯楽を奪わないでくれよ
[なんて、冗談にも聞こえない冗談を言った。紙袋を受け取れば中身を確認して、その種類を見る。十分すぎる量に満足したような表情を浮かべる。]
ありがとう。
(75) 2014/12/25(Thu) 10時頃