― 自室前 ―
[歩きながら何度かタオルの位置を直した。
どうにも下腹部の紋に擦れて、息が上がってしまう。
試行錯誤の結果、結局臍の上で留めるのが一番マシだという結果になった。]
…………どう、すっかな。
[そう。紋が、増えたのだ。当然だ、一つ目の時と、"同じこと"をしたのだから。
明らかに、誰かの精を受けたという証拠。どう考えても、誤魔化しようがない。
矜持を守ろうと口にした言葉が、逆に自らの首を絞めたようなものだ。四井にどう説明すればいいのか、分からない。
その精を放った布袋も、近くを見回ったが居なかった。
気まずくなったのか、はたまたさっきのように、触手やおっさんとの戦闘に巻き込まれでもしたのか。
……気まずくなるのは当然だが、安否は気になる。通信で聞いてみるかとドアノブに手をかけた時、気配と目線を察知した。>>71]
――――?
[廊下の奥。見慣れた赤毛が佇んでいる。]
(74) 2016/06/11(Sat) 20時半頃