お客さんか……誰かの家族か。さぁどっちだろうな。
[坊主の興味に乗っかって、嬢ちゃんに向けて首を傾げる。返事があれば顔をそちらに、無ければ坊主の肩にかかった籠の中身に視線を向けた事だろう。
教会に来ては、熱心に祈りを捧げて行くこの坊主と話すようになったのは、さていつ頃からだったか。今じゃあこの通り、道端で飛び付かれるくらいには懐いて頂いている。
最初はその手の奇怪さや、言動の幼さにに驚きもしたモンだが、それもあぁ、慣れた。
……餓鬼は元々、苦手だがね。]
坊主は買い物か。ちゃんと出来たか、ん?
[煙草の先が赤く光り、口の中に煙が広がる。自分の吸うものは匂いの強いものだから、坊主も嬢ちゃんもいい顔はしないかも知れんが。
今日は負けたモンで、帰って一人寂しく缶詰でも突っつこうかと思っていたのに。
美味そうな肉と野菜を引っさげている坊主の姿に、少しだけ虚しい気分を味わいながら、溜まった煙をゆっくりと、吐いた。]
(74) 2015/04/06(Mon) 19時半頃