―学校へ―
[先ほどまでの重い重いダークカラーな気持ちも忘れて、校舎へ向かって突っ走る。
――最も、軽快だったのは走りだしだけで、ものの53秒もすれば、トボトボと歩き出していたのだけれど。
ゼイゼイという荒い息までオマケについた猫背の出で立ちは、怯えより何より勝った疲れによって、どこまでも無愛想な顔つきを作り出していた。]
つ、つかれ……た。
[ひとりごちて、視線の先には服装チェックに立つ教員>>69。
慌てて走って乱れた制服を直しながら――目の前を進んでいった女子生徒>>69に、声にならぬ悲鳴を上げた。
校則違反のパーカー、短いスカート、漂う甘い香り。さては買い食いか。]
ヤ、ヤン……
[辛うじて語尾は飲み込んだ。最後まで言っちゃダメな気がする。怖い。ヤンキー怖い。
思わず自らの口を塞いで立ち止まった…を、指導教員はさらりと流して「さっさと行け」と促した。]
(74) 2014/10/14(Tue) 22時半頃