[メルヤの声が聞こえると、 組んだ手を解き、振り向いて微笑む。] 待ってたわ。[歩み寄ると、そっとメルヤに手を伸ばし、 肩の傷に触れないように、背を撫で 最前列の信徒席に促した。] ……。 浮かない顔ね。[薄暗い聖堂の中で、 ステンドグラスから射す月の明かり。 ふたりの、四つの虹彩は、 月の明かりだけで、宝石のように煌くことも、ない。]
(73) bloody 2016/03/12(Sat) 22時頃