気持ちがいいですね。この季節の風は。
肌を刺激すると言いますか、こうピリピリ来る感覚がたまりません。
あぁ……もう少しだけ……。
[この感触を、もっと全身で受け止めたい。
体中に、冷やりとした空気を浴びてみたい。男はそんな思いに駆られて、勢いよく白衣を脱ぐと、ばさりと乱雑に肩に背負った]
ふぅー。これこれ。この感じです。
まるで、心が洗われるような。
……と、いつまでもこんな恰好しているわけにも、いきませんね。
[白衣を脱いだ己の姿は、傍目にも寒々しいものであっただろう。
周囲の生徒たちの目も気になる。
男はそそくさと白衣に袖を通すと、そのまま職員室へと向かっていったのだった。
……もしかしたら、こんな些細な行動の中で、男は何かを失ってしまった>>0:395>>0:396のかもしれない。
仮にそうだとしていれば、その場に残されたものは――――>>1:273>>1:335]
―回想・昼休み・中庭で・了―
(73) 2011/12/03(Sat) 17時半頃