教会の外くらい吸わせろ、アソコじゃ吸ってねェだろう。
……見ろ。お前のせいで俺の煙草が二本も駄目になっちまった。
[ぶつかって来ておいて文句を垂れるような坊主には、背を屈めて顔を近付け、煙草の匂いをプレゼントしてやろう。
勿論、地面に落ちた煙草を指して、自分のした事の重大さを思い知らせてやる事も忘れない。
反省したようなら、あるいは濃くなった煙草の匂いに降参する素振りでも見せたのなら。ぐしゃぐしゃと坊主の頭をかき混ぜて、肩に掛けた籠の位置を直してやるくらいはしてやっただろうが。
落ちた煙草を拾い、着いた土を払う。中まで汚れちゃいないようなのが救いだと一歩取り出し咥えれば、マッチを擦って火を付けた。]
はぁ……美味い。お子様にゃ、この味の良さが分からんのだろうがな。
[ふうぅ……と上空へ向けて長く煙と息を吐き、坊主に向けて薄く笑う。この坊主はどうやら見た目よりも中身の方がずっと幼いようだが、どっちにしろ自分にとってはお子様な事に違いはない。
そうして坊主の次の興味は、近くの嬢ちゃんへと移ったらしい。まったく、餓鬼はすぐに話が変わるから、付いていけないったら。]
(73) 2015/04/06(Mon) 19時半頃