──ヨーランダとの対話──>>71>>72
[扉の隙間から覗く見窄らしい姿、そしてそこから覗く眼光。
どうやらこの扉の先の相手は女だったらしい。白髪は老婆のようだが、よく見ればまだ若い娘のようだ。
自分とそう年も離れてはいまい。
そうであれば尚の事納得してしまうのだ。
自分に向けられた、あの目。
自分は羨望され妬まれても仕方がない存在なのだから。
哀れ、とは思うもののそんな感情は顕にする事はない。
この女は自分の足場となり盾になりここから這い上がるために必要なのかもしれぬのだから。
だが、身に付けている物を寄越せと強請られ僅かに目を見開く。
両手を差し出し物乞いする姿はまさに乞食。
2度、3度と瞬きをしては、最後に紡がれた言葉に小さく息を吐いた。
着物を全て取り替えろ、などと恥知らずな事を請われたなら味方にできぬ。
こんな場で裸にはなれぬ、この女と2人きりでは無いのだ。
然も自分の両手は後手に戒められている。脱ごうにも脱げぬというもの。
しかし、欲しがるのがこの桃色のリボンであるならば]
(73) 2016/02/23(Tue) 10時頃