―5月4日朝7時過ぎ 市街地―
[諸々の身支度を済ませると、滅多に使わない裏口から隠れるように外へ出た。
せめて目立ち難いように手持ちで一番目立たない色合いの深緑の服を選んではみたものの、どうしても異国人めいている自分の服装は町からは異物のように浮いてしまう。自然と人の目線から逃げるように奥まった道を歩く。
いっその事新しい服を調達すべきだろうかと思案しながら細い路地を進めば、どうやら市街地へと抜けたようで。疎らに人が歩む通りを時折小道に入ってやり過しながら進めば、見覚えのある姿>>5。探していた相手――ナユタを見つければ辺りを見渡し人影がない事を確認すると、路地に入ったまま控えめながらも声を張って呼びかける]
――ナーユター、ナユータ、ナッユター…!
[彼が此方へ視線を向けるなら大きく手を振るだろう。
所々彼の名前のイントネーションを変えるのは、普段の自分の調子をなぞる為でもあるし、暗い雰囲気纏う彼の空気を変える為でもあるだろうか]
(72) 2013/07/26(Fri) 10時半頃