―回想・昼休み・中庭で―
猫さぁーん。
ふぅむ。今日はこっちにはいらっしゃらない>>0:406ようですか……。
あともう少しで、モフらせていただけるくらいの信頼を築けそうな気がしたのですが。
[昼休み。職員室で無骨な弁当を食す>>0:394前に、男はこの場所に訪れていた。
男にとって、動物をモフるということは、1人では困難を極める作業だ。
なにせ車いすの上からでは、たとえ油断をしてねころんでいたとしても、小さな生き物に触れることは叶わない。
欲望はある。モフりたい。されど生徒や同僚に、猫を抱くために力を貸してほしいと協力を仰ぐのもためらわれ。
……つまるところ、猫が自発的に男の胸に飛び込んでもらう以外に手段はない。
それゆえ、時折こうしてこっそりと、猫との接触を試みていたのだ。
生物学教師が自発的に動物への接触を図る。それ自体は、おかしな構図ではないはずだから]
しかたがありません。今日は諦めて、お昼ご飯にしましょうか。
[男はそう口にしてから中庭を立ち去ろうとし……ふと、体を刺激する冷たいそよ風の感触に酔いしれた]
(72) 2011/12/03(Sat) 17時半頃