[ ――妬む少女は憤慨した。]
(なによ、なによなによ!
他の者達には無条件で鍵を外してあげたというのに、私に対しては「自分でここまで来たら外してやる」とでもいうつもり?
まあ、なんて 差 別 的 なのかしら!
ずるいわ、卑怯だわ、悔しくてたまらないわ!私をここから引きずり出して一体何をしようというのかしら?
無条件に外して貰えた他の人達だってずるいわ!
不公平よ!妬ましくてたまらないわ!!)
[ 扉から覗く幽鬼のような菫色の瞳に、じわりじわりと潤む雫。しかしそれは怯えて見せた涙ではなく、悔しくて怒りをこらえた涙だと相手が気づくかはわからない。青紫色の唇も、ブルブルと震えていた。
……しかし、少女は妬むだけ。
憤怒して攻撃することもなければ、強欲に奪いに行くこともない。ましてや傲慢な態度で「私は『外してください』なんて頼んだ覚えはなくってよ。けれど、そうね、あなたが外したいって言うなら、外させてあげてもいいわ」などと、思ったとしても実際に言葉にする事もできない。]
(72) 2016/02/24(Wed) 03時頃