――廊下――
[人気の無い廊下で、伸びてきた触手を千切った。
姿は既に人型だった。下の衣服は避難所の一つに侵入して、触手に絡め取られていた一般職員から適当に奪ったものを穿いていた。
やや窮屈なジーンズの、右脚の脛の辺りには血が染みている。
五月雨が機会を作り四井が与えた一撃は鮮やかで、浅くない。血は止まったが、少し脚を引き摺る程度の怪我になっている]
[人形は無表情のまま、目的地へと歩いている。
見せるものがいなければ、人形の顔はいらない。
その主は獣の五感の他に、キルロイや朧の視界も情報として受け取り、対魔忍達を避けている。
向かう先は、キルロイの行く先と同じ。彼が誰かと会うのであれば、その都度様子を伺うだろう。
服の強奪のついで、一般職員達を脅しつけて入手したものを、不透明なレジ袋に入れて持ち歩きながら]
(71) 2016/06/11(Sat) 20時頃