[拳に伝わる鈍い感触と、坊主の目に飛び散る星(>>61)を目を細めて眺めつつ。身体を引き剥がされ、頭に籠を乗せてこっちを睨んでも何の迫力もありはしない。
拳骨を落とす刹那、どうにも傷付いたような顔を向けられた気もしたが……しかしそれも、お前さんが悪いんだろうと。
そうして仕返しに掛けてやった脅しの言葉は、予想以上に功を奏したようで。
……少し効果があり過ぎたか、とそう思ったのは、坊主の目から痛み以外の涙が溢れてからの事。]
――ん?嫌か。ならちゃんと……、おい。
[求めてるのは礼だってのに、詫びを口にする坊主に苦笑を向けて。"ごめんなさいじゃあ無くてありがとうだ"、と続けようとした言葉は、坊主の頬を伝う涙の雨に飲み込まれた。
……そんなに必死に泣く事か。自分は同じ事を言う癖に、いざ自分が言われたら嫌だ嫌だと駄々をこねて――まったく、餓鬼はこう我儘だから苦手なんだ。
礼と、詫びと。本人ももう、どっちを言っているのか分からんのだろう。
必死なのは分かるものの、そんな心の篭らん礼も詫びも、受け取るつもりなんざありはしないが。]
(71) 2015/04/10(Fri) 12時頃