[追伸を眺めて思考する。
こいつは誰かに相談する事も、また、したって気づいてもらう事も出来なかったのかなとか。
異常事態に冷静に素知らぬ誰かのことを考えていることがそもそも、普通でないのだろう。
身体を抱き、怯え、叫ぶ。これがきっと通常の反応。
先程視線が合った田井に一言くらいかけてやる。それが普通のクラスメイトの反応だったかもしれない。
どうしてここまで淡々としているのかも分からない。
けども、いつも。いつだって。
周囲の盛り上がりを眺めるたびに冷めていく自分がそこにいた。
その時ばかりは恐ろしいくらい全てがどうでもよくなる。
きっと何か大切なものを置き忘れてしまったのだろう。
それはいつの日かは分からないけども。
色々が抜け落ちた体は迷子の子どもみたいに、今ある現状ばかりに注目し、上靴の音を響かせながら廊下を歩いていた]**
(71) 2016/09/15(Thu) 04時頃