気にするな。朝飯前の運動みたいなものだし。
……おう?
[慌てた様子でこちらを拭こうとしてくる万里に、一瞬だけ呆気に取られて。
ぐいぐいと押し付けられるタオルを受け取った。]
いや、……ありがと。助かる。
[タオルくらい持ってる、と言うに言えず、何故か赤くしている彼女の顔を見つめる。
借りたタオルで軽くワイシャツを拭うと、洗剤の香りをほのかに感じた気がした。
我が家で洗ったものとは違う、女子特有の雰囲気というかなんというか、そんな感じの。]
……洗って返す。
[しっとりした布地をごわごわした手で弄くると、途端に申し訳ない気持ちに包まれた。
そしてこの状況。ハルは男子の性格とはいえ、見た目は藤堂なのだから、端から見た男女比は実質2:1。
それに気付いて、ほんの少しだけ距離を取るように、さりげなく歩幅を広げた。]
(71) 2015/06/17(Wed) 21時半頃