[見られてしまった。
ええ、見られてしまいました。
どの辺りなのかは分からないのですが、この失態を昴に見られてしまったことは、変えようもない事実です。
本当は蛇に睨まれたカエルのように飛び跳ねてでも逃げたいところですが、差し伸べられた腕>>63を拒むのも失礼というものでしょう(と、私は思うのです)。
有り難くお借りしながら立ち上がれば手を離して、軽く雪のついたキャラメル色のダッフルコートぱたぱたと叩き、雪を払いました]
おはよ。昴。
あのね。雪、すっごい……滑るんだよ。やばい。
転んだところはちょっと痛いけど、蝶美が絆創膏とか持ってるような気がする。
[何とでもないよう笑顔を浮かべつつも、至極当たり前のことを昴に伝えましたね。
その後に面倒見のいい委員長の名前を出しつつも、はぐらかすように傘をくるり。
ひと月前。同じ目線の彼女を語るときはどうしても懐かしむような口調となってしまうのは私の悪い癖。
どうしても私の記憶には明るい大和 蝶美の記憶が根強くあったのかもしれませんね。
とはいえこのまま会話を終わらせるのもいけないかもしれないと、私は一つ彼に尋ることにしました]
(71) 2017/03/08(Wed) 20時半頃