[何故だか、ノストは腕を大きく広げ、攻撃を受け入れる様にしていた>>64。
通常ならば、何かあるのではと思い警戒するのだが、月に充てられ暴走した頭では、それを考え事は無く。
漆黒の爪は服を切り裂き、皮膚を破る。赤い血潮は爪や指に纏わり付いた。
それでも倒れない吸血鬼の王は、戯れ付く様に犬の身体に抱き付いて、荒々しくも楽しそうに撫で回していって。]
がっ、ぐ、るぁっ!?
[自分がされている事に理解が出来ず、混乱の声を上げるが、撫でる手は一向に止まらない。
訳も分からないのだが、牙を剥き出し、撫でる手や腕を噛もうとするが。
撫でる動きに邪魔され、それすらもさせてはくれなかったし、何より力が桁違いに強過ぎる。
精々出来るのは、爪で空を掻き回すぐらいか。
吸血鬼の好きな様になでなで攻撃をしたと思いきや、がっしり全身をホールドからの投げ体制。
足をバタつかせても意味は無く、いともあっさりと投げ飛ばされた先には――――。]
(70) 2015/08/03(Mon) 21時頃