―回想〜ある日の保健室・放課後―
すみません、少しベッド貸してください。
[そう言って保健室に入るときは、たいてい右足を引き摺っていて。
ベッドのスペースが空いていればそこに入ってカーテンを引く。
右足の靴を脱ぎ、そのままベッドに上げると、スカートを捲り上げ、装具を外し、装着し直す。ちょっとした緩みでズレが生じると、装着をし直すことになるが、太腿部半ばまで覆うこの装具は立ったままではつけ直せないし、外でスカートを捲り上げるわけにもいかないから、必然的に保健室の来室率は高くなる。
ベッドが埋まっていて、室内の見える位置に女性しかいなければ、周囲に断り、処置用のソファで付け直すこともある。]
(……ッ)
[装具の下には、大きな傷痕が残る。嫌でも現実を突きつけてくる、この傷痕。
ソファで付け直していた時にその場にいれば、目に入ったこともあるかもしれない。]
終わりました。ありがとうございました。
[用が済めば、大抵はそのまま保健室を後にする。
声を掛けられれば、少しくらい話をしていったかもしれない]*
(70) 2017/09/17(Sun) 10時頃