[ お転婆な少女も、さすがに困ってしまいました。
堪えきれず涙が零れそうになった頃、あまりに哀れだったのか、少年に声をかけられました。>>59
彼は所謂ストリートチルドレンでしたが、少女は知る由もありません。ただ、同い年くらいの誰かに声を掛けられただけでホッとしてしまったのです。
差し出された手を握った途端、ついにワンワン泣いてしまいました。]
ありがとう・・・なにかおれいがしたいわ
[ 涙が落ち着いてから、少年は路地を出る道を教えてくれました。お礼がしたいと言うと、少年が指差した先にお店がありました。
少女は初めてハンバーガーというものを買いました。
あまりに勢いの良い食べっぷりだったので、思わず自分の分もあげました。迷子になって泣いた後の少女は、
あまり食欲がなかったのです。
路地を出た辺り。もう一度お礼を言おうとすると、
既に少年はいなくなっていました。
実は貧民街はかなり危険な場所で、迷い込んだ少女が無事に出られたのは、かなり(それもとびきりに)運が良いことです。
しかし少女がそれを知ることはないでしょう。]*
(70) 2016/07/29(Fri) 22時頃