―5月5日深夜2時 薬屋「三元道士」―
[扉の鍵は開いていた。けれど店として開けている訳では無い事は落ちた照明で解るだろう。煌く空の輝きも締め切った室内には届かず、店内は闇が満ちる。
その暗がりを燭台に刺さる小さな蝋燭の明かりだけが弱々しく照らし、店内の本来の色である赤の色彩と共に店主の顔と身に纏った白い旗袍を浮かび上がらせる。
長椅子の背凭れに肘を乗せて頬杖を突き、物憂げに机の上に置かれた燭台の灯を眺めていた視線を扉が開く>>33軋む音に視線を動かして、来訪者を見定めようと視線だけは注意深く注ぐ――が、良く見慣れた顔が扉の影から現われれば束の間その目を丸くして]
――…どウしたノ、トーイ?添い寝でモしにきタ?
[普段通り化粧で飾った貌にゆるりと笑みを乗せて柔らかく問い、掌に顔を乗せたまま小さく首を傾げる**]
(69) 2013/07/28(Sun) 04時半頃