>>63
ははっ、そうかい。アンタはずっと変わらず綺麗だぜ、露蝶さんよ。
──冗談。俺の顔は元のまんまで十分うつくしーんだよ。じゃねえ?
[男の評価に無駄な嘘は吐かない。己の顔を愛している。そんな自身の性質の侭、冗談でもない言葉をそこばかりはごく当たり前故の軽さで返し。薄めの唇に触れさせられた扇、普段なら頭や鼻先のひとつも弾かれそうなものだが──その意外さに、自身が逆に気を引かれた様にも露蝶の細い面をじっくりと視線で追うと、彼が動く合間、ソファの背凭れに腰を軽く預けて半端に立ち座った格好になり]
……どうしたい。今日は特別、甘やかしてくれる日ってか?雹でも降ってくるんじゃねェの。
─…噛み切る時は優しくしてくれよ。コレで、結構な痛がりなんだ。
[営業用の言葉、とも響くそれは、しかし矢張り常の彼を思えば少々甘く自身の耳孔を擽るようで。却って落ち着かなかった様、少し尻を動かし、こめかみを掻いて──ふと息を落とした]
アンタは、眠れるかい?[問い返す事で答え、眠気を含んでも冴えたままの目蓋を緩りと薄めさせ]
自分でも意外だったわ。笑っちまうがなァ。……ああ、だが、睡眠薬はいらねーぜ。
(69) 2013/07/17(Wed) 21時半頃