[ アレとの出会いの舞台は確か川であった。
「目の色が違うから」「髪の色が違うから」と虐められていたところに現れたのが──真っ赤なパンツ一枚だけを纏った、樫木律(7)。
派手な水飛沫をあげて川に降り立った律が当時流行っていた戦隊モノヒーローの技名を叫びながら、カエルやムカデを投げつける光景をまざまざと覚えている。
格好を除けばテレビで見たヒーローそのままの登場に目を輝かせて、容易に憧れた。
いざ友人として付き合ってみて分かった事は、関西人すげえ喋る。
第一印象とは結構掛け離れた実際にうざさ半分憧れ半分。
気の強い自身に付き合ってくれる事にも感謝はしている。
しかしそれでも分からないのが、それら総括してアレに心底惚れているということ。
その付き合いも海外に渡る時に途切れてしまうと思ったのに、律は容易く海を越えて来たのだから…
昔から バカは何を考えているか分からない。
長い回想を終わらせたのは、ふと見たレンズに映っていた緩み切った自分の顔。]
(69) 2015/11/18(Wed) 03時半頃