[元々、食は細い方だった。それに加えて、誰かと食べ物をとりあうとかそういう経験を殆どしたことのない彼にとって、この懇親会という名の戦場は只管に圧倒されるばかりのものだった]
あはは、怪我しちゃだめだよー。
[お行儀よくオレンジジュースを飲みながら、乱戦する面々へ緩く手を振る。
あの中に混じって行くほどの元気は、自分には残っていないらしい。せめて自分の態度が場の興をそいでなければ良いけれど、と心配しつつ、コップを口へ運ぶ]
えっ。
[ふと、目の前にかっぱ巻きの乗った皿が差しだされた。不思議そうに顔を上げれば、其処には凛々しい顔をしたワットの姿。僕の様子を見かねて、気を使ってくれたのだろう。
「ありがとう」と嬉しそうに告げて、再度戦場へ赴く彼を見送って]
あ、セシルー。見て見て、わーい。
[ピザ争奪戦に負けた友人を慰めてから、かっぱ巻きを見せて無邪気に笑う。空腹の彼におすそ分けしつつ、相変わらずのんびりと喧騒を眺めていた]
(69) 2010/09/06(Mon) 21時半頃