― 食堂 ―
[それから暫し後、己の姿は食堂にあった。
広い室内にいるのは己と、傀儡と化した食堂の料理人が一人。
目の前には小腹を満たす為のドライフルーツと、珈琲が一杯。
己が研究室に籠もる時と同じ組み合わせだ。
手の中にあるのは、全職員のデータを収めた小型端末だ。
ノート程のサイズのそれの画面を指先で操りながら開くのは、この場に残る対魔忍のデータ。
その内の一つ――亀吉のものに目を通す。
略歴、組織における功績、戦闘記録、それから。]
…………。
[彼の過去の相方に関するデータと、その関係性も。
淫気に狂った対魔忍を正気に戻すことが出来るのかどうかを試す実験の経緯は、特に子細に記されている。
結果として、彼の努力は無意味だったことが証明されたわけだが、読み物としてはなかなかに面白い。
ドライアップルを抓んで口に放り込み、指先を舌でぺろりと舐めた。*]
(68) 2016/06/11(Sat) 20時頃