[村の外れ、森の近くにある小さな礼拝堂が、クラリッサの居場所だ。
こんな小さな村でも、神に祈る者がいてもよい。そしてその心を忘れぬようにと、愛をうたうのがクラリッサだった。
生きるに迷って、救いを求める者のために。どうしても、時折、土に還る者のために。この礼拝堂は彼らのためにあるけれど。
どうせ平和なこの村での常日頃の仕事は、天気のいい日に洗濯をしたり、村人に配るクッキーを焼いたりと、少女のする家事手伝いと何ら変わらない。
クラリッサは修道女であるわけでもないから、静謐なカテドラルに佇むこともなければ、黒のローブを纏うこともない。
掃除をして、洗濯が終われば、のんびり散歩にだって出たりする。]
Tu tu lu――
[ゆったりと歌声を風に流すのは、上機嫌の証。
どこかから笛の音>>39が聞こえてきていたなら、それに合わせていたかもしれない。]
(68) 2013/06/14(Fri) 01時半頃