[胸に手を当てる、祈りにも似た所作。
先ほどの彼女に語った彫刻家の作品を思い出す。
心臓に火の矢を刺し貫かれた聖女の、法悦]
――お前は、救われた ってことか。
[穏やかに笑みを浮かべて。
星の下、夜の子供の交わした言葉は、些細なこと。
今よりほんの少し悪ガキだった自分は、ままならない身体の苦しみに「かみさまなんていない」そう言わずにはいられなかったのだ。ヨハネに面会にきた神父にまで、追い討ちをかけるようにそんなことを言っていた]
俺は救い主の存在なんて、知らないからな。
理系やってると、奇跡 くらいはあってほしいけど。
……ああ、今生きてるのも、奇跡的ではあるか。
[術後の容態は最悪で、生きているのが不思議なくらいだったのだ。
恐らくこの手術を受けた中でもICUに居た期間は最長だろう、と
自慢にならない自慢をしたこともあった、何せ馬鹿だったから]
(68) 2010/09/15(Wed) 10時半頃