[ 白い閃光が瞬いた。
カメラから出てきた台紙を風に晒す。
事務所の前に集まり始めていた人集りを確認して満足そうに頷いた。]
うん…こういうカメラも悪くないもんだ。
……課題、なぁ…なんとかなるといいけど。
[ 五年前に日本から欧州に渡り、入学したのは映像・メディアを取り扱う大学。
名前の通りカメラを抱えて良い絵のためにあちこち走り回っている。
そこで最近出された課題は「自分が美しいと感じたもの」。
絶望した。なにせカメラ以外の美的センスは皆無である。
切迫した状況で差し伸べられた救いの手、ボランティア団体ツヴァイク主催のツアーに参加しない手は無かった。
元々友人を作るのがあまり得意ではなかった>>15ために入ったボランティアがこんなところで活きるとは。
当の目的である友人作りは、海の向こうから蝉をくっ付けにやって来た野郎>>16のおかげで悩まずに済んでいるのだけれど。]
(68) 2015/11/18(Wed) 03時半頃