[>>60足音を聞き取るほど、鋭敏な感覚は残っていない。
五感がすべて快楽を感じるためだけに働いているような錯覚。
潰れた分の水を外に出し終え、僅かな雫が太腿を伝う感覚にすら、ふるりと小さく震える。
ゆとりのできた腹に、不足していた酸素を詰め込むため荒く呼吸を繰り返すうち、声がした。]
きも、ち、い……?
[金色、とは自分のことか。近くで声がしたから、きっとそうだ。
気持ちいい、のか、これが。俄に認めたくないと最後の矜持が首を横に振らせた。
しかし上気した頬も、子種を吐きたくて仕方がないと太った性器も、口元を濡らす涎も何もかもが、その否定自体を否定している。
気持ちいいはいいこと。そう語る声は、何故かしっくりと身に馴染む気がして、怖い。
声の主へと考え巡らせるより先に、頬に触れるものがあった。]
(67) mmsk 2016/06/19(Sun) 21時半頃