…………。結構いけてる。
今日の夕飯は、思いの外豪華になったし後でもう一度礼を言っておこう。
[残念なような、ホッとしたような、そして自分の勘違いが恥ずかしいような。若干の居た堪れなさにそっと視線を横へとずらせば、いつもよりも少しだけ早口にそんな事を口にする。
変に、思われただろうか。
たかだかフォークを渡すだけで、ああも緊張した俺の様子を見て、貴方は怪訝に思ってしまっただろうか――あぁ、でも。
さっきまで俺の口の中にあったフォークを含む貴方の唇は、何だか妙に艶かしくて……見て、いられない。]
――……そ、ういえば。
その、ピアス。いつもしているが……逆には、開けないのか。
[こんな時は、話題を変えるに限る。貴方がフォークを返したのならば、それを受け取り、何方にせよ貴方に貰ったスープをまた少し口へと含みながら……が。
"右耳の片ピアスはゲイのしるし"。
藁をもすがるような気持ちで色々と調べた時に出てきたその情報が不意に頭に浮かんだのなら、含んだスープが危うく気管に入るところだったけれど。]
(67) 2015/11/23(Mon) 15時半頃