―夜・食堂―
[周辺の特産物をふんだんに用いた料理の数々は、歓迎の宴にしては質素であり、日頃の夕食にしては豪華なものであった。
長いテーブルの左右に用意された席は、宛がわれた客室の並びと等しい。
いつの間にか始まった自己紹介。]
私はブルーノといいます。
生に苦しむ人々を救済せんと未だ修行中の身。
不思議な噂のあるこの山に寒中修行とやって来たが生憎出鼻を挫かれてしまった。
逗留中は宜しく頼む。
嗚呼。先程はセシルに「難しい」と言われてしまったがね。
悩みごとなどの相談があれば私を訪ねてくるといい。あなた方の心の負担を軽くする事こそ、本望なのだから。
[この場に居る全員の顔をひとりひとり見つめ、最後に手をあわせて一礼した。
ブルーノの前に置かれる皿には、肉の類いが一切なく、グラスに注がれるのは果汁ジュースのみであった。**]
(67) 2012/12/03(Mon) 14時半頃